후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
怪談劇
江戸時代の怪談劇は、大抵六、七、八の三月のあいだを択んで上場されたようである。つまり夏狂言とか盆替りとか云う場合に、怪談物を選択したらしい。暑い時節に怪談をみせて、夏なお寒きを覚えしめるという趣向かも知れない。
勿論、怪談の狂言に時代物もあるが、怪談として凄味の多いのは世話物である。その意味から云って、世話物は舞台の装置も人物の扮装もアッサリしていて暑苦しくない。それがまず第一に夏向きである。第二には、暑中の観客はとかくに茹り易い。その茹り気分を強く刺戟するには怪談などがお誂え向きである。それらの事情から、自然に怪談が択まれる事になったのであろうと思われる。
南北は怪談作者のように云われ、私もそう思っていたのであるが、かの大南北全集を通読すると、真の怪談劇と認むべきものは甚だ少ない。例の「四谷怪談」でお岩と小平を見せ、「彩入御伽草」で小平次と皿屋敷を見せ、「成田利剣」で累を見せているくらいで、他は真の怪談劇と云うべき物では無いようである。黙阿弥にも「小幡小平次」以外には、怪談劇らしい物は無い。明治になってから「箱根鹿笛」を書いているが、これはむしろ怪談否定劇である。