후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
三
と美しい墨色で書いた。
三
なよ竹の――唯それだけを書いて、彼は小坂部の前に置いた。うやうやしく一礼して、かれはその薄葉を押し頂いて読んだ。
「なよ竹の……。」
言うまでもなく、それは和歌の上の句五文字である。塩冶の内室に贈るべき恋文は唯この五文字に尽きているのであろうか。定めて情を籠め思いを述べた優艶の文字が、蚕の糸を吐くように縷々繋がっているのかと思いのほか、いっさいの文句が単にその五文字に尽きているのである。小坂部も案に相違したように、その美しい眉をひそめて幾たびが口の中で読み返していると、兼好はもう用はないというような顔をして、庭に落ち残った熟柿の二つ三ッつが梢のゆう日にうす紅く照らされているのを見るともなしに眺めていた。
なよ竹の――小坂部は小声で繰り返していたが、やがて次の句が、かれの口からおのずと流れ出した。
あだに見し 夢かうつつかなよ竹の おき伏しわぶる恋ぞくるしき
その声に兼好は思わず見返った。彼の窪んだ眼が小坂部のさかしげな眼と出逢うと、二人は無言で会心の笑みを洩らした。
「塩冶の内室は殿上に生い立って、上手の歌よみという噂がある。