후리가나로 읽는 일본 고전
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集(へいけがに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,094자 · 411화면
三
「よう教えてくだされた。」
かれは侍従にも礼を言った。かれはもう父の館へは戻られないと思った。しかし邪魔になるのは、兄から付けてよこされた五人の家来である。主人の命令でやって来た以上、いくら断わっても途中から素直に引っ返す筈はない。館まで送り付けられたら、おそらく自分は座敷牢、采女と侍従とはその場で成敗、三人の運命はもう見え透いているようにも思われるので、小坂部の足は俄かに進まなくなった。侍従もその運命は予覚しているので、めったに館へと帰られず、さっきからここらに行き迷っていたのであった。
どう考えても館へは帰られない。帰れば自分は恋を破られ、あわせて男を殺される。さりとて今の場合、迂濶に兄のところへも戻られない。兄は自分と侍従とを庇ってくれるかも知れないが、采女を救ってくれないのは先刻の口ぶりでも大抵判っている。大事の男を見殺しにして、自分ばかりが救われて何とする。小坂部も思い悩んでしばらくたたずんでいると、暗い中から一群の狼藉者が又あらわれた。
三
狼藉者のかしらぶんは、小坂部の想像した通り、かの荏原権右衛門であった。彼は自分の股肱としている横井弥兵衛を三人のあとに尾けさせて、かれらが塩冶の屋敷へ入り込むのを見届けて、すぐにそれを主人に密告すると、師直の憤怒は一度に破裂した。