후리가나로 읽는 일본 고전
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
島崎 藤村의 千曲川のスケッチ(ちくまがわのスケッチ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 81,668자 · 164화면
番人はまだ年も若く、前の年の四月にここへ引移って、五月に細君を迎えたという。火に映る顔は健かに輝き眼は小さいけれど正直な働き好きな性質を表していた。話をしては大きく口を開いて、頭を振り、舌の見える程に笑うのが癖のようだ。その笑い方はすこし無作法ではあるが、包み隠しの無いところは嫌味の無い面白い若者だ。直に懇意に成れそうな人だ。細君はまた評判の働き者で、顔色の赤い、髪の厚く黒い、どこかにまだ娘らしいところの残った、若く肥った女だ。まことに似合った好い若夫婦だ。
部屋の方は暗いランプに照らされていて、炉辺のみ明るく見えた。小屋の庭の隅には竃が置いてあって、そこから煙が登り始めた。飯をたく音も聞えて来た。細君はザクザクと葱を切りながら、
「私は幼少い時から寂しいところに育ちやしたが、この山へ来て慣れるまでには、真実に寂しい思をいたしやした」
こう山住の話をして聞かせる。亭主も私達が訪ねて来たことを嬉しそうに、その年作ったという葱の出来などを話し聞かせて夫婦して夕飯の仕度をしてくれた。炉には馬に食わせるとかの馬鈴薯を煮る大鍋が掛けてあったが、それが小鍋に取替えられた。