후리가나로 읽는 일본 고전
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ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
宮本 百合子의 古き小画(ふるきミニエチュア)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 70,298자 · 140화면
ルスタムは、神経を集注させ、その声が一つ処に落付くのを待った。バタンと、重い蓋でも落したような音がし、ひっそりした。やがてまたぼそぼそと語り出した。ルスタムは、顔を伏せたまま、肱でずるずると、声の来る側とは正反対の左方に自分の体を動かした。そして、微かな光の洩れて来る天幕の縫いめのすきを見つけ、膝をついてその高さまでのび上り、片目をよせて内部を覗き込んだ。光に眩い彼の瞳には、案の如く一人の若者の姿が、殆ど正面に映った。今時分、自分を天幕の外から隙みしている者があろうなどとは夢にも知らず、若者はくつろいだ風で卓子(テーブル)に肱をついていた。此方に向いている引緊った、きめの細かい片頬から顎にかけて、斜めに灯が照している。やや憂鬱な黒い眼は、時々灯かげをちらつかせながら、じっと前方に注がれている。ゆるく開いた上着の襟元から、ルスタムは、色沢のよい健康そうな若者の頸を、胸の辺まで見ることが出来た。
幅のある胸、確かりした肩つき、鍛えられ、しかも、未だ塵にしみない青年の、何ともいえない新鮮な感じが、空気のように四辺に漂っていた。眉宇の間、心持大きめに緊った口元あたりに、品のよい、気位さえ認められる。