후리가나로 읽는 일본 고전
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
野村 胡堂의 奇談クラブ〔戦後版〕(きだんクラブ〔せんごばん〕)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,902자 · 22화면
酒が廻ると、六郷左京の舌も態度も無遠慮になって、ツと伸びた手が、何時の間にやら多与里の手首を掴んでいたのです。
骨細の、掌の中に消えそうな凝脂、不思議に弾力的な触感が、酔った左京をツイ積極的にしました。
「あれ」
それは四方を憚る小さい小さい声でした。
「多与里殿」
六郷左京の声はツイ口の中に消えます。
なんという美しさでしょう。三月近くあの妖艶極まる扮装をしたお七の姿を見馴れてきた左京ですが、それは冷たい、そして取澄ました美しいものに過ぎなかったのに、今晩の多与里の悩ましく輝かしく、そして滴るような魅惑は、曾て想像をしたこともありません。
女は全く違った半面を見せたのです。
「恋だ」
左京は、自分の疑問に胸の裡で答えました。女を一朝にしてこうも美しく変貌させるものは、恋の魔術でなくてなんでしょう。
美貌を買われて、亀山侯の御殿に上った多与里は、十九の春までも、ツイ恋らしいものも知らず、固い固い蕾のまま、お七の扮装をさせられ、心ならずも、激情のシーンを強いられていたのでしょう。
女を美しくするもの、恋の外に何があろう、白粉も、紅も、美しい扮装も、それは末の末だ。