후리가나로 읽는 일본 고전
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
山本 周五郎의 契りきぬ(ちぎりきぬ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 32,757자 · 66화면
なにを謡っているのかおなつにはわからない、なにしろまのびのした調子で、声はよろよろしたり、戸惑ったり、とぎれたりもつれたりする、どうにもがまんできなかった。いそいで袂で口を押えたがまにあわず、ついくくとふきだしてしまった。
「――どうしたんだ、ああ、おれの謡か」
精之助はこう云って苦笑いをした。
「ごめんあそばせ、たいへん失礼いたしました」
「なに、自分でも可笑しいんだ」
そうしててれたように顎を撫でた。
七日めごろから伊代に云われて、精之助の世話をするようになった。茶や食事の給仕、外出や帰宅のときの着替え、そして友達が来たときの接待――なかには伊代でなければならない事もあるが、たいていはおなつが用を達した。ことに友人たちが集まると、その人たちのほうでおなつを放さなくなった。
「なつさんこのあいだの鯉こくは残っていませんかね」
衣巻は初めのうちはそんなふうに云ってよくおなつをまごつかせた。
「まあ、いくらなんでもそんなに、いつまでとってはおけませんですわ」
「それは残念、ではひとつ作って下さい」
つまりそれが彼のねだり方なのであった。
もっともよく訪ねて来るのは、衣巻大学と津田吉兵衛、河野又三郎の三人である。