후리가나로 읽는 일본 고전
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こをうばう
子を奪う
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 子を奪う(こをうばう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 39,292자 · 80화면
二人は、依子を家に引取って育てたいといい出した。
依子! その名前を今公然と持ち出されると、彼は一種の暗い壁にぶつかったような気がした。半ばは異性に対する好奇心から、半ばは本能的な肉慾から、何等の予想なしに設けた子であり、当時その存在に対して、愛着と憎悪とを投げかけた子であって、其後母親の手で育てられてるということを自ら責任回避の口実として、折にふれて気にかかりながらも、忘れるともなく忘れがちになっていた子だけに、その子のことを考えると、暗い影に心が蔽われた。彼は母と妻との申出に対して、諾否の返答が与えられなかった。そしてただ、二人の心持ちだけを執拗に分解して見た。然し幾代の理由は簡単だった。どうせ兼子に児がないとすれば、そして兼子自身で望んでいることである以上は、依子を引取って育てた方が、家の血統のためにも皆のためにも、凡て好都合ではないか。もし兼子に子が出来ても女の子であるから少しも差障りはない。
「固より向うとはきっぱり手を切ってしまうのです。」と彼女は云った。
「然し戸籍の上にはいつまでも残りますよ。」と彼は母が気にしそうなことを持ち出してみた。