후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
山之口 貘의 山之口貘詩文集(いけぶくろのみせ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,477자 · 93화면
仕方なしに、ぼくは彼を連れてあてもなく、神楽坂の夜店をぶらつき出した。ふたりが、歩き疲れて、汽車の疲れと折り重なりながら、土手のようなところに来た頃は、人影ひとつも見えなくなっていた。
「もしもし」という声が、うえの方から落ちてくるようにきこえた。見上げると、主義者と間違えられたかつての、ぼくの思い出をそこに髣髴とさせて、巡査が手招きをしているのである。ぼくは、とっさにその場を繕って、こころにもないことを云った。
「一寸おうかがいしますが、このあたりに旅館はないでしょうか」
すると、巡査はきめつけて、
「なにとぼけてるんだ」と云うのである。
「旅館のことをきいているんですが」と云うと、
「こんなところに旅館なんてあるもんか」
「この辺のこと知らないんでお尋ねしているんですが」
「まあいいからふたりともこちらへ来いよ」
ふたりは土手をのぼった。ぼくは、巡査にきかれるままにそれらしく、住所は、富士見町の亀重君の兄さんのところを答え、ふたりは散歩のつもりなのであったが、途々、芸術論に熱中しているうちに、時間の経つのも知らず、気がついた時には、すでに電車もなくなっていたので、富士見町まで歩いて帰るのも大変だし旅館を探していたところだと説明した。