후리가나로 읽는 일본 고전
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ひろばのベンチ
広場のベンチ
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 広場のベンチ(ひろばのベンチ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,998자 · 15화면
今日、十内は赤松重造の事務所へ行った。前以て電話で打合せはしてあったが、赤松は無雑作に五十万円の現金を渡してくれた。もっとも、この節どういうからくりがあるのか、平洋社へは現金がすらすらとはいってくることが多かった。貸借の精算だと岩田は言っていた。赤松は五十万の現金を十内に渡し終って、煙草をふかしながら言った。きれいに支払いしました代りに、こんどは、私の方をもお引立て願いますと、皮肉な語調だった。
語調ばかりでなく、赤松は煙草の煙の向うで、ちょっと意地悪そうに見える皮肉な微笑を、短い口髭のほとりに漂わしていた。まああなた方で、しっかりやって下さい、とも言った。
あなた方、とは何事だ、と十内は思った。然し第三者からのその一言は、十内の胸を打つものがあった。岩田とその一味の行動は、もはや確定的とみてよかった。
だが、そのことと、あの朝鮮戦乱の悲惨な情景とを、どう結びつけて考えたらよいだろうか。いや、どう整理したらよいだろうか。数年前の軍隊生活の苦い経験を思い起しただけでも、十内は途方にくれた。
紙幣束のはいってる鞄を抱えながら、重い曇り空の下を、十内は思い沈んで歩いた。