후리가나로 읽는 일본 고전
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あくまのでし
悪魔の弟子
浜尾 四郎
浜尾 四郎의 悪魔の弟子(あくまのでし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 25,202자 · 51화면
だから私が当時、凡ての記憶力と理解力を全く失っていたと云っても、あなたは少しも不思議には思われないでしょう。
兎も角私はかような不思議な状態で、魂も何も抜けはてたまま汽車に乗せられました。今から思えば私は東京に送り返されたのでした。
私はそれ迄何を問われても、何を訊ねられてもはっきり答えませんでした。否、答えられなかったのです。凡てが霧の中を彷徨しているような気がして、自分で自分が判らず、極端に云えば、自分が何者であるか、という事すら、はっきり思い出せなかった位なのです。
こちらへ帰ってからも、暫くの間は医師が私の身体を見ていてくれたようでしたが、生命にも異状がなく、いう事も大丈夫云えると見たか、軈て私は刑事の前に引き出されました。
私が一番はじめにつきつけられたのは、あの木曽で書いた遺書の数葉の紙でした。
「之にお前、おぼえがあるだろう。之はお前が書いたのだろう」
私は暫くそれを黙って見つめました。成程自分の字に間違いありませぬ。私はようやくそれを書いた時の有様だけを思い出しました。然しそれ以上の記憶はどうしても呼び起せなかったのです。
「おい、とぼけるなよ」