후리가나로 읽는 일본 고전
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あるおんな
或る女
有島 武郎
有島 武郎의 或る女(あるおんな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 205,655자 · 406화면
「九時だな今打ったのは」
と陸で聞くとおかしいほど大きな塩がれ声でいった。どれほど熟睡していても、時間には鋭敏な船員らしい倉地の様子がなんの事はなく葉子をほほえました。
倉地が立つと、葉子も床を出た。そしてそのへんを片づけたり、煙草を吸ったりしている間に(葉子は船の中で煙草を吸う事を覚えてしまったのだった)倉地は手早く顔を洗って部屋に帰って来た。そして制服に着かえ始めた。葉子はいそいそとそれを手伝った。倉地特有な西洋風に甘ったるいような一種のにおいがそのからだにも服にもまつわっていた。それが不思議にいつでも葉子の心をときめかした。
「もう飯を食っとる暇はない。またしばらく忙しいで木っ葉みじんだ。今夜はおそいかもしれんよ。おれたちには天長節も何もあったもんじゃない」
そういわれてみると葉子はきょうが天長節なのを思い出した。葉子の心はなおなお寛濶になった。
倉地が部屋を出ると葉子は縁側に出て手欄から下をのぞいて見た。両側に桜並み木のずっとならんだ紅葉坂は急勾配をなして海岸のほうに傾いている、そこを倉地の紺羅紗の姿が勢いよく歩いて行くのが見えた。半分がた散り尽くした桜の葉は真紅に紅葉して、軒並みに掲げられた日章旗が、風のない空気の中にあざやかにならんでいた。