후리가나로 읽는 일본 고전
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にちにちへいあん
日日平安
山本 周五郎
山本 周五郎의 日日平安(にちにちへいあん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,297자 · 56화면
「誰だ」とその侍はこっちを見て、それから仰天したようにどなった、「きさまなに者だ」
「手洗いにまいりたいのだが」
「なに、手洗いだと」相手は出て来て、つかみかかりそうな勢いで叫んだ、「きさまどこから入って来た、こんな処でなにをしている、これ渡辺、渡辺はいないか」
その侍のわめき声で、向うから若侍がとんで来、(それが渡辺というのだろう)彼のことを説明した。中年の侍は納得したが、「むやみに歩きまわっては困る」と云い、若侍に手洗い場へ案内しろと命じた。
「ひどくものものしいですな」菅田平野はこう云いながら若侍の表情をぬすみ見た、「――なにか奥に秘密でもあるようじゃありませんか」
「いま客が来たのです」若侍は答えた、「――御老職がお二人、なにか御内談があるようですから、こちらです」
菅田平野が手洗いから戻るまで、その若侍は待っていて、彼を元の六帖へ伴れ戻した。食膳はそのまま置いてあり、茶を持って来るようすもない。
――たしかに、あの奥のほうになにかある。
彼はこう思った。むろん、それが直ちに陸田の存在を示すものではないかもしれない、そうだと考えるのは早合点だろうが、あの中年の侍の(仰天したような)そぶりから察すると、たしかになにかあるとみていいように思えた。