후리가나로 읽는 일본 고전
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にほんにおけるくりっぷんじけん
日本に於けるクリップン事件
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 日本に於けるクリップン事件(にほんにおけるくりっぷんじけん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,290자 · 21화면
それに事件が関西でのことであるから、東京の新聞は軽く取り扱っていたので、知らない人も多いに違いない。私はそれを探偵小説的に書くのが目的ではなく、記録に基いて事実を集め、既に知られた材料を私一流の見方によって整理してみる、つまり与えられた事柄の中心を置き換えてみる、そうして出来るだけ簡結に、要約的に諸君の前へ列べてみようというのである。
それは大正十三年の三月二十日午前二時頃のことであった。阪急電車蘆屋川の停車場から五六丁東北にあるBという農家の主人は、隣家の小栗由次郎方と覚しき方角から、番犬の呻るらしい響きと、人の叫ぶような声とを聞いた。あの辺の地理を知らない人のために記しておくが、大阪と神戸とを連絡する電車に二線あって、一線は海岸に沿うて走り、他の一線は六甲山脈の麓を縫うて、高台の方を走っている。阪急電車とは後者をいうので、その沿線はつい最近にこそ急激な発展をしたものの、当時は今の半分も人家がなかった。殊に線路から上の方、――山手の方は、その時分は至って淋しい場所であって、昔から村に居住している百姓以外には、去年の地震で関東を落ち延びた罹災民をあてこみの借家が、やっと二軒建っていたのみであった。