후리가나로 읽는 일본 고전
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
島崎 藤村의 旧主人・芽生(きゅうしゅじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 149,813자 · 302화면
寄ると触ると、私の家では娘達の話が出た。最早お繁の肉体(からだ)は腐って了ったろうか、そんな話が出る度に、私は言うに言われぬ変な気がした。
家内は姪をつかまえて、
「房ちゃんや菊ちゃんが二人とも達者で居る時分には、よく繁ちゃんのお墓へ連れてって桑の実を摘(と)ってやりましたッけ。繁ちゃんの桑の実だからッて教えて置いたもんですから、行くと、繁ちゃん桑の実頂戴ッて断るんですよ。そうしちゃあ、二人で頂くんです……あのお墓の後方(うしろ)にある桑の樹は、背が高いでしょう。だもんですから、母さん摘(と)って下さいッて言っちゃあ……」
種夫に乳を呑ませながら、こんな話を私の傍でする。姪はまた姪で、お房やお菊のよく歌った「紫におう董(すみれ)の花よ」という唱歌を歌い出す。
「オイ、止してくれ、止してくれ」
こう言って、私は子供の話が出ると、他の話にして了った。
山から持って来た私の仕事が意外な反響を世間に伝える頃、私の家では最も惨澹(さんたん)たる日を送った。ある朝、私は新聞を懐(ふところ)にして、界隈(かいわい)へ散歩に出掛けた。丁度日曜附録の附く日で、ぶらぶらそれを読みながら歩いて行くと、中に麹町(こうじまち)の方に居る友達の寄稿したものがあった。