후리가나로 읽는 일본 고전
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
長谷川 時雨의 旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 158,045자 · 322화면
私はなんでそんなむずかしいことを言いだしたかというと、「娼妓解放令」についていいたかったからだが、あんぽんたんはそれを聞いておくにはあまり幼稚すぎた。いま私が語ろうとする、おぼろげながら私の頭に残る二人の男は、その当時での当世男であると思うが、いつでもきける話だと思っていた油断が父が死んでしまったので、私の記憶はただ外形だけのものとなってしまった。その一人を通称金兵衛さんといった松本秀造という人と、秀造さんの妹の御亭主清水異之助という人だ。
秀造さんは吉原の大籬金瓶大黒の恋婿で、吉原に文明開化をもちこんで、幾分でも吉原を明るくしたかわりに養家はつぶしてしまった人。異之助さんは本邦最初の、外国火災保険詐欺をやった男。
秀造さんは眼から鼻へぬけるような才人だったという――これは後に大人が言ってるのを聞いていたのだが、吉原の積立金(税金だともきいた)使い込み事件で体があぶない時、父にかくまわれていた。
そのころ私は赤ん坊で、家は大火事に焼かれて土蔵前に庇かけをしていたというから、明治十三、四年のころでもあったろう。ある夜、神田柳原河岸の米屋、村勝という爺さんにつれられて、唐桟の絆纏を着て手拭の吉原かむり、枝豆や里芋の籠を包んだ小風呂敷を肩にむすんで、すっと這入って来たのが秀造さんだという。