후리가나로 읽는 일본 고전
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
長谷川 時雨의 旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 158,045자 · 322화면
旧聞日本橋
なんぞという畑の人間でないことを、事ごとに思いあたっていたものであろう。だが、生れ土地で、地盤というものを、すこしでももっていたためか、選挙時にはゴタゴタしていた。
――日本橋区選出議員は改進党の藤田茂吉氏だったが、その後楠本正隆氏が、政友会から出る時、輸入候補だというので、地元への折合を担ぎこまれていた。いわゆる顔役――そんな時に、人を担いで顔をうっている区内の政治好きが、楠本氏に草鞋を穿かせ、袴のももだちをとって連れてきた。握飯も持っているのだという。旅から来て、新選挙地に草鞋をぬぎ、土着になるのを意味するのだときいたが、嘘の皮で、その前日にも打合せに来ている。区内になんぞ住みもしなかったが、ともあれ、選挙ブローカーが附いて、その姿で戸別訪問をはじめた。だが、おひとよしの町人は――日本橋区は金で動かないからという策略があたって、握飯をもって、草鞋で歩くとは、清廉な人だと当選させた。楠本氏はえらい人だというのに、こんな芝居めいた所作をするのが、あんぽんたんには、代議政治を委任される代議士というものが、妙なものとして印象された。
深川の木場が、震災の幾年か前まで、土地っ子で帽子をかぶったものが歩いていなかったように、日本橋区大門通辺では、明治三十年ごろでも、帽子を被って歩いているものはすけなかった。