후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
顔にあらわさないだけその怒りは、言いようのない激しいものとして宇治の胸をゆすった。そんなに怒ったってどうなるんだ、と宇治は反射的に考えたが此のやせた再役の老将校に対するあわれみの気持がおこる前に、彼は此のような険悪な雰囲気とは全然無関係にさえ見えるあの花田中尉の営みが俄かに新鮮な誘ないとして心を荒々しくこすって来るのを感じていたのだ。――
寝台から立ち上り略刀帯をつけ、拳銃を右の腰に吊した。部屋の真中に立ち、彼はしばらく部屋中を見廻していた。壁はニッパの葉で造ってあるのだが古びてささくれ立っている。粗末な竹の寝台。鼠色によごれた毛布。此の小屋でもう一箇月も暮したのだ。先刻はいた痰が腐った牡蠣のように床に付着している。彼はじっとその痰を眺めていた。何か荒廃した感じがふと宇治の嫌悪をそそったが、彼は背を揺り上げるとそのまま扉を身体で押し、階段を一気にかけ降りていた。
山の斜面に、丁度腰かけたように見える細長い建物の入口を宇治は入って行った。此の部隊の医務室である。中に入ると中央に置いた卓の上で衛生兵が二三人、キニイネ剤かなにか白い粉末を調合していたが、その中の一人が顔をあげて不審そうにちらと彼を眺めただけで、また仕事をつづけた。