후리가나로 읽는 일본 고전
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
梅崎 春生의 桜島・日の果て・幻化(さくらじま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 169,810자 · 345화면
高城の不審そうな視線が彼の顔にかえって来た。宇治は眼を外らしながら掌を振った。そして足を引きずるような歩き方で高城と反対の方に歩き出した。
頭の上を突然サワサワという幽かな音が通った。宇治が眼を空に向けると、梢の切れたところを渡る幾百羽とも知れぬ候鳥の群であった。一群が過ぎるとまた一群がつづいた。チチチと鳴く声も聞える。それらは次々に盆地を越えて行くらしい。あの方向がインタアルである。盆地を横切って行けば近いがそれは危険だから、やはり密林の道を迂回する外はない。彼は首を振りながら顔をしかめて痰を飛ばした。それは薄赤い点となって崖の下に落ちて行った。先刻仮小屋の床に見た痰の色がまざまざと宇治の脳裏にふとよみがえって来たのである。
それにははっきりと赤い血の色がまじっていたのだ。アパリに居る時も、夕刻になるとひどく疲れたり肩が凝ったりしたが、カガヤン渓谷を上るあの難行軍の途中、彼は思いがけぬ喀血をした。勿論状況が状況であったから安静などは思いもよらず、強行してサンホセに入ったのだが、それから一箇月の日光から遮断された密林の生活で、彼は自分の身体が刻々とむしばまれて行くのをはっきりと自覚していた。