후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 112,073자 · 223화면
山番の小屋は他に二つあり、そこには三人ずつの番人とその家族たちもいっしょに住んでいるが、甚次郎の小屋は与五兵衛ただ一人であった。与五兵衛はそのとき三十歳を越していたが、妻を娶ったことはないし、七十歳にちかい現在まで独身をとおして来た。ひどく口かずの少ないたちで、必要がなければ二日でも三日でも黙っているし、幼ない甲斐が、用もないのに話しかけたりすると、男はむやみにしゃべるものではないと叱るのであった。
雪にうもれた山の小屋で、そういう与五兵衛とただ二人、粟や稗のまじった粥や飯を喰べ、そして山まわりや猟をするという生活は、幼ない甲斐にとって、ずいぶん辛いことであったが、母親にとっても、それがどんなに辛かったかということを、のちになって甲斐は知った。
吹雪の夜半、厨で物の凍る朝、津多女はわが子をおもって泣いた。ことに、正月三日だけ帰って、また山へ戻らせるときは、子供が可哀そうで、見送ることができなかったということである。だが、津多女はわが子に、決してそういうところを見せなかった。いつも凛として、おちついて、そして非情にみえた。
「宗輔でございます――」