후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 148,519자 · 296화면
――なんの謎だ。
甲斐は眼をつむったまま思った。
――どんな罠。
おくみの直感は当っている。その口ぶりから察すれば、雅楽頭がこの家を訪れたのは、原田甲斐の隠宅と知ったうえでのことである。そして、「屋敷へ遊びに来い」と云い、「来なければ自分がまた来る」と云ったという。
――どうするつもりなのか。
老中でも、めきめき威勢を高めている雅楽頭忠清が、自分のような陪臣に、なぜそんな興味をもつのか。兵部少輔宗勝と、雅楽頭との関係はわかっている。伊達家において兵部がいまなにを計画しているかということも、その背後に雅楽頭の支持があることもわかっている。だが、雅楽頭その人が、どうして甲斐に手を伸ばすのか、という点になると、彼には理解しがたいのであった。
甲斐が起こされたとき、もう日は昏れて、部屋には灯がはいっていた。彼は知らぬまに眠った。その眠りが彼の気力を恢復させたようである。雅楽頭がこの家へあらわれたことも、いまではさして軍荷とは感じられないし、数日来の心労も軽くなったようであった。風呂にはいり、髭を剃り、着替えをして出てゆくと、その座敷には燭台が並び、雁屋信助も、芸人たちもすでにそろって、酒肴の膳を前に坐っていた。