후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 148,519자 · 296화면
里見十左衛門はむずかしい顔をして、まっ四角に構え、七十郎は蜂谷になにか話していたが、おくみが来て坐ると「お」と云った。
「今日は客なんだ」と甲斐が云った、「たまには女客もよかろう」「お酌をいたしますわ」「いや坐っておいで」と甲斐が云った、「おくみは今日は客だ、七十郎などは酌をする義理があるんじゃないのか」「義理はともかく酌はよろこんでしますね」と七十郎が云った。
おくみは十左と蜂谷に会釈をした。二人はそれぞれ会釈を返した。かれらはみなおくみを知っていた。おくみの湯島の家で、しばしば馳走になっているので、甲斐とおくみとの片づかない関係もわかっていた。しかし、ここで彼女に逢うのは初めてであった。
「里見さん怒らないかね」と七十郎が云った、「藩家の大変で、重臣諸公は蒼くなり、会議、密議とごった返しているのに、ここでは朝から酒肴をならべ、おまけに美人まで御臨席とある、これで里見老の怒らない道理はないと思うがね」
「それなら自分で怒ったらどうだ」と十左が云った、「私は昔から船岡どのをよく知っておる、会議だの寄合いだのと騒ぐばかりが能ではない、船岡どのがどういう人物であるかは、そこもとなどには理解の外のことだ、いやなら退席するがいいだろう」