후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 178,724자 · 355화면
先生はあるいは自分を始末に負えない飛びあがり者だと思われたかもしれない。「かわいそうに、己を知らないのにもほどがある!」それが先生のお気持だったのではあるまいか。
そこまで考えて来た時に、ふと、隙間風のようにつめたく彼の頭をよぎったものがあった。それは、自分たちの運動が幸いに成功して、どうなり県当局の意志を動かし得たとして、先生は果して留任を肯じられるだろうか、という疑問であった。この疑問は彼をほとんど絶望に近い気持にさそいこんで行った。先生のお気質として、そんなことが出来るはずがない。自分は、ただ一途に先生の留任を目あてに、血書を書いたりして一所懸命になっているが、先生にしてみると、落ちつくところは最初からはっきりきまっていたのだ。自分はただストライキに口火を与えるために、そして先生の最後に泥を塗るためにあの血書を書いたのではなかったのか。
そう考えると、「かわいそうに」という先生の言葉の意味は、これまで考えたのとはまるでちがったものになって来た。先生は、その言葉に何もとくべつな意味をもたせようとされたのではない。ただ先生のはっきりしたご決意と自分に対する愛情とが結びついて、何の作為もなくそんな言葉となってあらわれたまでだ。