후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,443자 · 398화면
東京の異変でゆすぶられたかれの血は、「歎異抄」とは別の世界に流れ出ようとしているかのようであった。自己沈潜の深い洞穴から、急にあれ狂う嵐の中におどりだして、胸を張り大声をあげて叫ぼうとしている自分自身を、かれはかれの全身に感じていたのである。
かれの眼には、宮城をとりまいて所々に配備されている機関銃や、大砲や、歩哨や、また、総理官邸の付近に、雪を血に染めて横たわっている人間の死体や、それらの間を何か声高に叫びながら疾駆している若い乗馬将校の姿などが、つぎからつぎに浮かんで来た。
かれは落ちついてすわっていることさえできなかった。せまい室内を歩きまわりながら、暗殺された重臣たちの顔ぶれを想像して見た。それは、しかし、かれには皆目見当がつかなかった。また、かれは、全国の軍隊が真二つに割れ、敵味方になって弾丸をうちあう場合のことを想像してみた。内乱などということは、外国のできごとだとしか考えていなかったかれにとっては、それは全く思慮にあまることだった。まさか、という気持ちと、今にもそこいらから銃声がきこえて来そうに思える気持ちとの間に、かれはただ、うろうろするばかりであった。