후리가나로 읽는 일본 고전
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
下村 湖人의 次郎物語(じろうものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 200,443자 · 398화면
未明に鉄舟寺を辞すると、まず竜華寺の日の出の富士を仰ぎ、三保の松原で海気を吸い、清水駅から汽車で御殿場に出て、富士の裾野を山中湖畔までバスを走らせた。山中湖畔の清渓寮は日本青年館の分館で、全国の青年に親しまれている山小屋風な建物である。ここに旅装をとくと、朝倉先生はみんなに言った。
「自然に親しむには、孤独と沈黙に限るよ。明日ここを出発するまでは、できるだけおたがいにそうした気持ちですごしたいものだね。」
次郎はその言葉をきいた時、何か悲しい気がした。
かれは実を言うと、過去二日半をほとんど孤独と沈黙の中ですごして来ていたのだった。心の中では大河に対して道江の問題を打ちあける機会をたえずねらっていながら、そして一度ならずその機会をつかみながら、ついに言いだしそびれていたかれは、それゆえに他の場合にも、とかく孤独と沈黙に自分自身を追いやっていたわけだったのである。こうして今となっては山中湖畔の半日だけが、かれにとって最後の機会になっていたが、その最後の機会に、朝倉先生のそんな言葉をきいたので、それがいかにも自分を運命的に追いつめるように聞こえたのである。