후리가나로 읽는 일본 고전
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すいごういぶん
水郷異聞
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 水郷異聞(すいごういぶん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,516자 · 36화면
その夜は蒼い月が出ていた。彼は旅館の下手から水際に出て歩いた。そこは湖と町の運河がいっしょになった処で、彼の立っている処は石垣になっているが、前岸はもとのままの湖の縁で飛とびに生えた白楊が黒く立っていて、その白楊の下の暗い処からそこここに燈の光が見えている。彼は一眼見てそれは夕方に見えていた四つ手網を仕掛けている小屋の燈だと思った。
湖の水は灰色に光っていた。省三は飯の時にみょうな好奇心から小さなコップに二三ばい飲んでみた葡萄酒の酔が頬に残っていた。それがためにいったいに憂鬱な彼の心も軽くなっていた。
湖の縁はそこから左に開けて人家がなくなり、傾斜のある畑が丘の方へ続いていた。黒いその丘は遥の前に崩れて湖の中へ出っぱって見えた。その路縁にも、そこここに白楊が立ち、水の中へかけて蘆の嫩葉が湖風に幽かな音を立てていた。白楊の影になった月の光の射さない処に一つ二つ小さな光が見えた。それは蛍であった。彼はその蛍を見ながら足を止めてステッキの端を蘆の葉に軽く触れてみた。
軽いゴム裏のような草履の音が耳についた。彼は見るともなく後の方に眼をやった。そこには壮い女が立っていた。