일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면

아오조라 문고

十四

三月になって絹糸のような雨が二、三日ふりつづいた。馬喰町の佐野屋の二階から見おろすと、隣りの狭い庭に一本の桃の花が真っ紅に濡れて見えた。どこかで稽古三味線の音が沈んできこえた。なま暖かいひと間の空気に倦んで、次郎左衛門は障子を少しあけていたが、やがて又ぴっしゃりと閉め切って古びた手あぶりの前に坐って、小さい鉄瓶の口から軽く噴く湯煙りのゆくえを見つめていた。

座敷の片隅には寝床が延べてあった。先月の末から十日あまりも吉原の三つ蒲団に睡らない彼は、明けても暮れても宿の二階に閉じ籠って、綿の硬いごつごつした衾にくるまって寝るよりほかに仕事はなかった。眼が醒めると酒を注文した。酔うと又すぐに寝てしまった。

こんなことをして冬の蛇のように唯ぼんやりと生きているのは、彼に取って実に堪え難い苦痛であったが、今の彼はもう穴を出る力を失っていた。宿の亭主にあずけておいた五百両も、とうに喧嘩づらで引き出して、二月の中ごろまでには一文も残さずつかった。彼はいよいよ大尽の頭巾をぬいで、唯の旅びとの次郎左衛門になった。仲の町の茶屋にも幾らかの借りも出来た。