후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
茶屋はさておいて、宿屋の払いさえも出来なくなった。彼は髪結い銭にも煙草銭にも困って、宿の者の眼につかないように着替えの衣服や帯などをそっと抱え出して、柳原の古着市へ忍んで行ったこともあった。それも長くはつづかないで、今の次郎左衛門が持っているものは、自分のからだ一つと村正の刀一本になってしまった。村正の刀は十年前に或る浪人から百両で買ったもので、持ち主は家重代だと言った。水も溜まらぬ切れ味というので、籠釣瓶という銘が付いていた。次郎左衛門はこの籠釣瓶で、博奕場の喧嘩に六、七人傷つけたことがあった。彼は幾口も持っている刀のうちでも、これを最も秘蔵の業物としていたので、去年故郷を退転する時にも余の刀はみんな手放してしまって、籠釣瓶だけを身につけて来たのであった。
「もうこの上は、籠釣瓶を手放すよりほかはない」
村正は徳川家に祟るという奇怪な伝説があるので、江戸の侍は村正を不祥の刀として忌むことになっているが、他国の藩士はさのみ頓着しないから、いい相手を見付ければ相当の高値に売れる。刀屋へ捨て売りにしても四、五十両のものはある。ここで思い切って籠釣瓶を手放す事にすれば吉原へも行かれる、当分の小遣いにも困らない。