후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
「いいお天気ね」と、お米はうららかな日に向かってまぶしそうな眼をしばだたきながら、思い出したように話しかけた。
「たいへん暖かくなったね。もうこんなに梅が咲いたんだもの、じきに初午が来る」
「よし原の初午は賑やかだってね」
「むむ、そんな話だ」
箕輪から京間で四百間の土手を南へのぼれば、江戸じゅうの人を吸い込む吉原の大門が口をあいている。東南の浮気な風が吹く夜には、廓の唄や鼓のしらべが手に取るようにここまで歓楽のひびきを送って、冬枯れのままに沈んでいるこの村の空気を浮き立たせることもあるが、ことし十八とはいうものの、小柄で内端で、肩揚げを取って去年元服したのが何だか不似合いのようにも見えるほどな、まだ子供らしい初心の十吉にとっては、それがなんの問題にもならなかった。
たとい昼間は鋤や鍬をかついでいても、夜は若い男の燃える血をおさえ切れないで、手拭を肩にそそり節の一つもうなって、眼のまえの廓をひと廻りして来なければどうしても寝つかれないという村の若い衆の群れから、十吉は遠く懸け離れて生きていた。ありゃあまだ子供だとひとからも見なされていた。十六の秋、母のお時といっしょに廓の仁和賀を見物に行ったとき、海嘯のように寄せて来る人波の渦に巻き込まれて、母にははぐれ、人には踏まれ、藁草履を片足なくして、危うく命までもなく