일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면

아오조라 문고

いくら天下のお旗本でも、その年々の取米は決まっている。まして今の江戸の世界では武家よりも町人の方が富貴であることは、客商売の廓の者はよく知り抜いている。たとい遊びの上にぼろを出さずとも、男の内証のだんだんに詰まって来るらしいのは、綾衣の眼にも見えていた。殊に去年の暮れには小普請入りとなった。男の影がいよいよ痩せて衰えてゆくのは明らかになった。それに連れて男の周囲からいろいろの叱責や意見や迫害が湧いて来ることも綾衣は知っていた。神か人か、何者かの強い手によって二人は無慈悲に引き裂かれねばならぬ情けない運命が、ひと足ずつに忍び寄って来ることも綾衣は覚悟していた。

そうなったら仕方がないと、悲しく諦めてしまうことの出来るような綾衣ではなかった。彼女は自分が一度つかんだ男の手は、死んでも放すまいという根強い執着をもっていた。

たとい世間晴れて藤枝家の奥様と呼ばれずとも、妾ならば子細はない。男の家さえ繁昌していれば、江戸のどこかの隅に囲われて、一生をあわれな日蔭者で過そうとも、暗いなかに生きている楽しみはある。綾衣もそのあきらめだけは余儀なくもっていた。