후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
彼は一人でちびりちびりと酒を飲んだ。
十
その晩の四つ(十時)過ぎに、林之助は屋敷へ帰った。
「どうも遅くなって済まないね」
門番のおやじに挨拶して、彼は自分の部屋にはいった。うすら寒い雨の夜をあるいて来て、内へはいると急に酒の酔いが発したらしく、彼はかっかとほてる頬をおさえて自分の小さい机の上にしばらく俯伏していた。それからしずかに起ちあがって、戸棚から蒲団と衾をひき出した。彼は蒲団の上に坐り直して今夜のことを考えた。
彼は両国の軍鶏屋で一人さびしく飲んでいた。しだいに酔いがまわって来るに連れて、彼はお里のことをふと思い出した。雨の降る日にでも遊びに来てくれとささやかれた甘い言葉を、又しても思い出した。きょうの雨で花火はお流れになって、列び茶屋も大抵休んでいることを彼はさっき見て知っているので、お里は家にいるに相違ないと思った。
「これから行って見ようかしら」
林之助はふらふらとそんな気にもなった。お絹の影が彼の頭から消されたのではなかったが、酔っている彼は、なに、かまうものかと大胆に構えた。単にお里の家へ寄って来るだけのことならば、別に子細もない筈だと彼は自分で理屈をこしらえてしまった。