후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
客は二十歳をようよう一つか二つぐらい越えたらしい若侍であった。色の浅黒い、一文字の眉の秀いでているのがお染の眼についた。彼は多くしゃべらないで、黙って酒を飲んでいた。酒量はかなりに強い人らしいとお染は思った。
酒の強い人――それは年の若い彼女に余りいい感じを与えなかったが、それを十分に打ち消すだけの強い信仰がお染の胸に満ちていた。それは彼の親切であった。同情であった。花代を払ってすぐに帰してやる――ある女はそれを喜ぶであろうが、ある女はかえって不快を感じるかも知れない。しかし今夜のお染にはそれが譬えようもないほどに嬉しかった。花代はむしろ第二の問題で、悲しい頼りない身をそれほどに優しくいたわってくれたという、その親切が胸の奥まで沁み透るほどに嬉しかったのである。彼女は男の顔をぬすむように折りおりに窺いながら、今までとは違った意味で涙ぐまれた。
四つ(午後十時)ごろに酒の座敷はあけた。六人の客は銘々の相方に誘われて、鳰の浮巣をたずねに行ったが、お染の客だけは真っ直ぐに帰った。お染とお雪は暖簾口まで送って出た。
「またのお越しをお待ち申します」と、お雪はうしろから声をかけた。