후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
「おお、また来る。その女を主人に叱らせてくれるな」
夜露に濡れてゆく男のうしろ姿を、お染は言い知れない悲しい心持ちで見送っていると、冷たい秋風は水色の暖簾をなびかせて、彼女の陰った眉を吹いた。
二
その次の夜にも、かの坂田という馴染み客が先立ちで、五人の侍が花菱に来た。先度の連れが二人減っているからは、無論お染の客も欠けているであろうと想像していたお雪は、座敷の明るいところで一座の顔を見渡して案外に思った。お染の客は今夜も五人の中にまじっていた。
坂田の女のお花は無論に来た。ほかの女たちも来た。お染も来た。坂田はいつものように陽気に飲んで騒ぎ立てた。その笑いさざめく座敷の中で、お染はやはり俯向いていろいろのことを考えつめていた。
ゆうべの客に今夜も逢えたというのが彼女は第一に嬉しかった。それと同時に、かの客がどうして今夜もここへ来たか、お染はその人の心を深く考えて見たかったのである。勿論、それには友達の附き合いという意味も含まれているであろうと想像した。酒さえ快く飲んでいれば、女なぞはどうでもいいと思っているのかも知れないと想像した。しかし昨夜の様子から推量ると、友達の附き合いとして酒を飲むことのほかに、何かの意味があるらしくも思われた。