후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
帰りぎわにお光を門口へ呼び出して、栄之丞はこの事をささやいて聞かせると、妹の顔色はまた陰った。
「でも、兄さま。そのお金は……」
「心配するな。なんとかするから」
口では無雑作に言っているが、今の兄の身分では、十両はさておいて五両の工面もむずかしいことを、お光はよく知っていた。不安らしい彼女の眼にはもう涙がにじんでいた。
「なに、金は湧き物で、又どうにかなるものだ。わたしに任せて置け」
「八橋さんのところへでもお出でになりますか」と、お光はそっと訊いた。差しあたってはそれよりほかに工夫はあるまいと彼女は思いついた。
栄之丞は黙って考えていた。
「もし兄さまからお話しがなさりにくければ、わたくしから手紙でもあげましょうか」
「それにも及ぶまい。どっちにしても何とか埒をあけるからくよくよするな。胸に屈託があると粗※(「勹+夕」、第3水準1-14-76)をする。奉公を専一に気をつけろ」
春の寒い風が兄妹のそそけた鬢を吹いて通った。
妹に別れて栄之丞は南の方へ小半町も歩き出したが、彼の足はにぶり勝ちであった。まったくお光の言う通り、いくら立派そうな口を利いても今の栄之丞に十両の才覚はとても出来なかった。