후리가나로 읽는 일본 고전
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
久生 十蘭의 海難記(かいなんき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,628자 · 56화면
ラ・メデュウズには、筏に乗ることを拒否した六十人ばかりの人員がいて、葡萄酒を飲みながら騒いでいたが、ショオマレェが端艇に移ったのを見ると、舷側から、罵声を浴びせかけた。ショオマレェは立ちあがって、
「諸君は、自由意志によって、そこに残ったはずだ」
といい、ラ・メデュウズに向ってうやうやしく訣別の敬礼をした。
エスピオ少尉の指揮する艀はとりわけひどい古船で、方々から水漏りのするところへ四十五名も人間を積みこんだため、動きもできないほど船足を重くしていたが、ラ・メデュウズに残った連中を見捨てておくわけにはいかず、説得して、四十三名だけは艀に乗せた。これで筏の乗員は八十名になった。ラ・メデュウズにはまだ十七人の人員が残り、甲板に葡萄酒の大樽を持ちだして大騒ぎをしていた。
午前七時だった。風がおさまって雲切れがし、その間から赤道直下の強い陽の光がさしかけてきた。
発進の命令が出、四隻の端艇が一列に並んで筏を曳きだしたが、調整するものもなく、曳綱の長さもまちまちなので、筏の前部がたえず水に浸った。兵隊達は狼狽して、麦粉や葡萄酒の樽を海へ投げこんだ。アングラス中尉は、こんな筏は駄目だといい、海へ飛びこんでエスピオ少尉の艀へ泳いで行った。