후리가나로 읽는 일본 고전
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ぼうふううにおわったいちにち
清風荘事件 他8編
松本 泰
松本 泰의 清風荘事件 他8編(ぼうふううにおわったいちにち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 20,532자 · 43화면
宝石の序曲
1
狭い、勾配の急な裏梯子を上り切ったところの細長い板の間は、突き当たりに厚いカーテンがかかっていて、古椅子や古テーブルなどを積み重ね、片側をわずかに人が通れるだけ開けてある。そこは階下に通ずる非常口で、めったに使うことはなかった。
梯子段に近い明かり取り窓の下に、黒天鵞絨の洋服を着た盲目の少女が夕陽の中の鉄棒の影のように立っている。長い睫毛の下に寂しく閉じている目を心持ち上へ上げて、彼女はじっと耳を澄ましていた。
カーテンを隔てた廊下向こうのパーラーから、グラスの触れ合う音や女給たちの陽気な声が聞こえていた。
「ああ、いらしったわ!」
少女の口もとに微笑が浮かんだ。彼女の耳には聞こえない音まで、聞こえていた。
しばらくして遠くの廊下に、軽い足音がした。
緑色のカーテンが揺れて、白い顔が出た。
「あら、みのりさん、あなたはまた来ているのね。お父さまに見つかると叱られるわ。さあお部屋へ行っていらっしゃいね」
「波瑠子さん、あまり叱らないでね。わたし、お父さまに叱られるのは我慢するけれども、あなたに叱られるのは辛いわ。わたしね、あなたがここまで来てくださらないでも、陰であなたの声を聞いたり足音を聞いたりしているだけでも嬉しいのよ」