후리가나로 읽는 일본 고전
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 痴人の愛(ちじんのあい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 179,399자 · 353화면
は全く大理石のヴィナスの像にも似たものが、心の闇の底に忽然と姿を現わすのです。私の頭は天鵞絨の帷で囲まれた舞台であって、そこに「ナオミ」と云う一人の女優が登場します。八方から注がれる舞台の照明は真暗な中に揺らいでいる彼女の白い体だけを、カッキリと強い円光を以て包みます。私が一心に視詰めていると、彼女の肌に燃える光りはいよいよ明るさを増して来る、時には私の眉を灼きそうに迫って来る。活動写真の「大映し」のように、部分々々が非常に鮮やかに拡大される、………その幻影が実感を以て私の官能を脅やかす程度は、本物と少しも変りはなく、物足りないのは手で触れることが出来ないと云う一点だけで、その他の点では本物以上に生き生きとしている。あんまりそれを視詰めると、私はしまいにグラグラと眩暈がするような心地を覚えて、体中の血が一度にかあッと顔の方へ上って来て、ひとりでに動悸が激しくなります。すると再びヒステリーの発作が起って、椅子を蹴飛ばしたり、カーテンを引きちぎったり、花瓶を打っ壊したりします。
私の妄想は日増しに狂暴になって行き、眼を潰りさえすればいつでも暗い眼瞼の蔭にナオミがいました。