후리가나로 읽는 일본 고전
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 痴人の愛(ちじんのあい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 179,399자 · 353화면
百日草や、おいらん草や、カンナの花の咲いている間から、その横顔と髪の毛だけが僅かにチラチラするだけでした。
男は私に気がつくと、帽子を取って会釈をして、
「じゃあ、又」
と、ナオミの方を振り向いて云いながら、すぐすたすたと門の方へ歩いて来ました。
「じゃあ、さよなら」
と、ナオミもつづいて立ち上りましたが、「さよなら」と男は、後向きのままそう云い捨てて、私の前を通る時帽子の縁へちょっと手をかけて、顔を隠すようにしながら出て行きました。
「誰だね、あの男は?」
と、私は嫉妬と云うよりは、「今のは不思議な場面だったね」と云うような、軽い好奇心で聞いたのでした。
「あれ? あれはあたしのお友達よ、浜田さんて云う、………」
「いつ友達になったんだい?」
「もう先からよ、―――あの人も伊皿子へ声楽を習いに行っているの。顔はあんなににきびだらけで汚いけれど、歌を唄わせるとほんとに素敵よ。いいバリトンよ。この間の音楽会にも私と一緒にクヮルテットをやったの」
云わないでもいい顔の悪口を云ったので、私はふいと疑いを起して彼女の眼の中を見ましたけれど、ナオミの素振りは落ち着いたもので、少しも平素と異なった所はなかったのです。