일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しらふじ

白藤

宮本 百合子

宮本 百合子의 白藤(しらふじ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,810자 · 16화면

아오조라 문고

母がお孝さんと近くに呼ぶひとを、私はそういう心理から、古田中さんという学生っぽい呼びかたで呼び、格別お宅を訪ねるということもなく、親切なことづけを母からきいているばかりで、何年も経た。

考えてみると、母は風変りめいたところがあっと思う。私たち子供らは、小さい時から親戚へ連れられて行くというようなことが実に少なかった。すこし大きくなっても、それは同じであった。母とお孝さんのところへ上ったのも、思えば、芝のおうちが一度ぐらいのことではなかったろうか。

大正の中頃から昭和へかけての時分、母はお孝さんに誘われて沢田正二郎の芝居を見物するようになった。

比較的芝居は観る方で、演芸画報をかかさずとっていたが、有名な沢正を観たのは、お孝さんのすすめによってであった。帰って来て、

「あれは、どうして熱がある。あの男は相当のものだ」

と云ったりしていた。

「あの熱のあるところが、お孝さんの気性に合うのだね。ただの役者じゃないよ」

そして、感慨ふかげであった。

「お孝さんも熱情家だからね、品川の伯父さんの娘だけあって、あらそわれないところがある」

シラノ・ド・ベルジュラックを白野弁十郎として演じたのは、沢正一代の傑作であり、特質を全幅に活かしたものであったろうが、母もその頃は、お孝さんの傾倒に十分の同感をもつようになっていた。