후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(五)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 252,330자 · 505화면
すがりつかんばかりですらある。その眼のなかを、高時は、雑草でも踏んで行くように、山門のうちへ通ってしまった。
そのあとで、武士はがなりつけていた。
「虫ケラども、ほかへ失せろ」
「ほかの谷の穴へ行け」
「ご執権を暗愚にして、今日の厄を招いたのも、多年、遊宴のお取巻きばかりを能としていた、きさまらのなせるわざだわ。この、うじ虫めら!」
日ごろ、高時が庇護を加え、つねに宴遊の相手としていたべつな人種とも見ていたので、武士たちは、その忿懣も槍の柄にこめ、彼らを蠅みたいに叩き追った。
しかし、ここのそんな狂暴も、虚空のけむりや、煮え沸くような大地をみれば、一トひらの、火炎の業にもおよばなかった。若宮小路にはまだ敵影を見ないから、飛び火にちがいあるまいが、柳営の一角からさえ、すでに煙の渦を噴き、真ッ赤な舌が、めろと、小御所の棟木をなめている。
ほかの遠くは、いうまでもない。
北は雪之下、扇ヶ谷、南は、きのうからの前浜一向堂へんから佐々目ヶ谷、塔ノ辻まで、炎を見ない所はなかった。山も焼け、海では兵船も焼けているのである。自然、熱風のつむじが捲き起って、あらゆる地の物を枯葉のごとく宙へ奪い去ってゆくと、あとには一瞬、乾き切った巨大な真空帯が生じ、およそ虫一匹の生物もないかのような死界に似たしじまが耳をツーンと通る。