후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 126,598자 · 254화면
「来ねえのか」
どこかに仲間がいるらしい。権三の眼のくばりが異常である。――元成の身構えは前身の武士になっていた。手に余ると見たか、権三は急に後ろの石段ぎわへ飛びのいた。
建水分の舞殿では、山田申楽の楽の音が、はや山上に、わいていた。権三の手下もそれに気をとられているのだろう。彼はやにわに、タタタと石段を駈けのぼり、なお、下の二人へは眼を離さず、途中から上を望んで、
「おういッ。みんな来い」
と、呼ばわった。――いやその声も半ばにして、彼の体は、さっきから、そこに佇んでいた何者かの反撃に出会ッて、不意に突きとばされたらしく、数十階の石段を、あッともとの所まで、まッ逆さまに転がり落ちて来た。
下のふたりは、事の意外に驚かされた。
まッ逆さまに転がッて来た忍ノ権三は、地にのびたまま、うごきもしない。そして、何者なのか、彼を突き落した人間は、なお石段の中腹から、じっと、下を見おろしている様子。
が。自失したように仰いでいる元成と卯木を、もどかしいと思ったのか、上の影はついに、トトトッと、石段を下りて来て、
「お逃げなさい。早く」
と、ふたりへ手を振った。
三十四、五か。