후리가나로 읽는 일본 고전
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
永井 荷風의 荷風随筆集(上)(かつしかみやげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,224자 · 269화면
医者とも見える眼鏡の紳士が一人。汚れた襟付の袷に半纏を重ねた遣手婆のようなのが一人――いずれにしても赤坂麹町あたりの電車には、あまり見掛けない人物である。
車は吾妻橋をわたって、広い新道路を、向嶋行の電車と前後して北へ曲り、源森橋をわたる。両側とも商店が並んでいるが、源森川を渡った事から考えて、わたくしはむかしならば小梅あたりを行くのだろうと思っている中、車掌が次は須崎町、お降りは御在ませんかといった。降る人も、乗る人もない。車は電車通から急に左へ曲り、すぐまた右へ折れると、町の光景は一変して、両側ともに料理屋待合茶屋の並んだ薄暗い一本道である。下駄の音と、女の声が聞える。
車掌が弘福寺前と呼んだ時、妾風の大丸髷とコートの男とが連立って降りた。わたくしは新築せられた弘福禅寺の堂宇を見ようとしたが、外は暗く、唯低い樹の茂りが見えるばかり。やがて公園の入口らしい処へ駐って、車は川の見える堤へ上った。堤はどの辺かと思う時、車掌が大倉別邸前といったので、長命寺はとうに過ぎて、むかしならば須崎村の柳畠を見おろすあたりである事がわかった。しかし柳畠にはもう別荘らしい門構もなく、また堤には一本の桜もない。