후리가나로 읽는 일본 고전
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋・恩讐の彼方に
菊池 寛
菊池 寛의 藤十郎の恋・恩讐の彼方に(とうじゅうろうのこい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,146자 · 74화면
『あれ見よ、密夫の狂言とは、名ばかりで相も変らぬ藤十郎じゃ』と、云われては、自分の芸は永久に廃れるのだと、彼は心の裡に、覚悟の臍を堅めていた。ただ、相手の傾城が、人妻に変ったばかりで、昔ながらの藤十郎だとは、夢にも云わせてはならないと、心の裡に思い定めていた。
が、それかと云って、藤十郎は、自分で口に出して云った通、道ならぬ恋をした覚はさらさらなかったのである。元より、歌舞伎役者の常として、色子として舞台を踏んだ十二三の頃から、数多くの色々の色情生活を閲している。四十を越えた今日までには幾十人の女を知ったか分らない。彼の姿絵を、床の下に敷きながら、焦れ死んだ娘や、彼に対する恋の叶わぬ悲しみから、清水の舞台から身を投げた女さえない事はない。が、こうした生活にも拘らず、天性律義な藤十郎は、若い時から、不義非道な色事には、一指をだに染めることをしなかった。そうした誘惑に接する毎に、彼は猛然として、これと戦って来ている。彼が、役者にも似合わず『藤十郎殿は、物堅い御仁じゃ』と、云われて、芝居国の長者として、周囲から、尊敬されているのも、一つにはこうした訳からでもあった。