후리가나로 읽는 일본 고전
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋・恩讐の彼方に
菊池 寛
菊池 寛의 藤十郎の恋・恩讐の彼方に(とうじゅうろうのこい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,146자 · 74화면
そう思うと、彼の心の裡では、直ぐその顔触が定った。平生の忠次だったら、
「おい! 浅に、喜蔵に、嘉助とが、俺と一緒に来るんだ! 外の野郎達は、銘々思い通りに落ちてくれ! 路用の金は、分けてやるからな!」
と、何の拘泥もなく云える筈だった。が、忠次は赤城に籠って以来、自分に対する乾児達の忠誠をしみじみ感じていた。鰹節や生米を噛って露命を繋ぎ、岩窟や樹の下で、雨露を凌いでいた幾日と云う長い間、彼等は一言も不平を滾さなかった。忠次の身体が、赤城山中の地蔵山で、危険に瀕したとき、みんなは命を捨てて働いてくれた。平生は老ぼれて、物の役には立つまいと思われていた闇雲の忍松までが、見事な働きをした。
そうした乾児達の健気な働きと、自分に対する心持とを見た忠次は、その中の二三人を引き止めて他の多くに暇をやることが、どうしても気がすすまなかった。皆一様に、自分のために、一命を捨ててかかっている人々の間に、自分が甲乙を付けることは、どうしても出来なかった。剛愎な忠次も、打ち続く艱難で、少しは気が弱くなっている故もあったのだろう。別れるのなら、いっそ皆と同じように、別れようと思った。