후리가나로 읽는 일본 고전
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
谷 譲次의 踊る地平線(上)(おどるちへいせん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 168,926자 · 332화면
とみえて、そこでは、それらのすべてがめいめい過去の地位を自慢して大声に話しあっていた。そのわんわんという声が暗い店の空間を占領して、四隅ではいつも魑魅魍魎が会議をひらいていた。が、この一見こんとんとして猥雑・病菌・不具・古蒼の巣窟みたいなレクトル・エケクランツの店は、不思議とそれだけでひとつの調和を出していた。その効果は成功だった。レクトル・エケクランツ自身が猥雑・病菌・不具・古蒼を兼備して、彼の商品たる魑魅魍魎のひとりに化けすまし、おどろくべき安意さでそれらを統率していたからだ。
じっさい、売物の黒円帽をかぶって売物の煙管をくわえたレクトル・エケクランツは弾ねのない売物の大椅子に腰を下ろして――つまり売物のひとつになり切って、眼のまえの狭い往来を眺めくらしていることが多かった。私たちは何度となくここを往ったり来たりした。それは巾三尺ほどの延々たる露路で、何世紀にも決して日光のあたることはないらしかった。
だから、しじゅう濡れている敷石から馬尿のにおいが鼻をついて、大きな銀蠅が歓声をあげて恋を営んでいた。日がな一にちレクトル・エケクランツの水っぽい瞳が凝視している壁は、おもて通りに入口をもつ売春宿ホテル・ノルジスカの横ばらで、そこには雨と風と時間の汚点が狂的な壁画を習作していた。