후리가나로 읽는 일본 고전
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
織田 作之助의 青春の逆説(せいしゅんのぎゃくせつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 162,593자 · 325화면
迂回するためかと思ったが、車はそのまま真っ直ぐ天王寺の方へ走って行った。そのかすかなタイヤの軋みを多鶴子ははっと不気味にききながら、
「方角がちがってよ。運転手さん! 引きかえして頂戴!」思わず叫んだ。
しかし、佐古の意を察している運転手は、よくあることやと苦笑しながら、それに耳を藉そうとはしなかった。
「佐古さん!」多鶴子は佐古の顔をきっとにらんだ。「車を引きかえして頂戴!」
「そら無茶でっせ。わてはなにも運転手さんやあらへん。引きかえそうにも、わてが運転するわけにいきまへんがな」済ましこんでそう言うと、あははと、多鶴子の白い眼へ笑いをかぶせた。多鶴子は叫び出しそうになったが、さすがにかつての人気女優だった。やっとこらえて、十分用心深い表情のまま、じっと車の方向を見つめていた。
阿倍野橋から二町も行った頃だろうか、いきなり車が停った。運転手は素早く降りて、「清川」と門燈の出ているしもた屋風の家へはいって行った。それがどんな商売の家であるか、多鶴子には直ぐわかった。古びているが、映画のセットにこれとそっくりの家が出て来る。
運転手が出て来るまで、佐古はこの男に似合わぬ神経質な手つきで、煙草を吸っていた。