후리가나로 읽는 일본 고전
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
吉川 英治의 鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 261,216자 · 521화면
弦之丞はそこへ来ていた。
瞑目していた。
心の平調をとり戻すことにかれは苦しんだ。そして、ふと珍しく一節切の竹を手にとって、歌口をしめした。嫋々とすさびだされる音は、かれの乱れた心腸をだんだんにととのえてきた。無我、無想、月の秋。
大津時雨堂の夜が思いだされる。銀五郎は自分の望みが達しられた今日、うれしい手向と聞くであろう。かなたの木の蔭でも、万吉やお千絵やお久良や、ほかの者も、みな影を一ツに寄せて聞きとれていた。――そして、なおまだ遠くへは行くまい縄付のお綱も、せめて、淡い満足を感じて月にニッコとしたであろう。よしや、月夜の風邪、また新しい寒さを骨身に沁みてよび起こされても、かの女の好きな山千禽の曲。
* * *
却説。江州甲賀の山奥木賊村庄屋家記によると、弦之丞は両刀をすて、農となってその地で終っている。子孫があった点や隠栖した土地の縁故を考えても、明るい山村の耕地に、麦を踏み、鍬をもって、良人とともに働いた女性は、お千絵であったと思われる。
かれが裂いて返した秘帖の一片で、阿波は一城とりつぶしの厄をまぬがれ、禁門堂上の騒擾もきわめて軽微にすんだ。