일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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さまよえるユダヤじんのしゅきより

さまよえるユダヤ人の手記より

寺田 寅彦

寺田 寅彦의 さまよえるユダヤ人の手記より(さまよえるユダヤじんのしゅきより)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,155자 · 11화면

아오조라 문고

一 涼しさと暑さ

この夏は毎日のように実験室で油の蒸餾の番人をして暮らした。昔の武士の中の変人達が酷暑の時候にドテラを着込んで火鉢を囲んで寒い寒いと云ったという話があるが、暑中に烈火の前に立って油の煮えるのを見るのは実は案外に爽快なものである。

暑い時に風呂に行って背中から熱い湯を浴びると、やはり「涼しい」とかなりよく似た感覚がある。あれも同じわけであろう。

涼しいというのは温度の低いということとは意味が違う。暑いという前提があって、それに特殊な条件が加わって始めて涼しさが成立するのである。

先年塩原の山中を歩いていた時に、偶然にこの涼しさの成立条件を発見した。とその時に思ったことがある。蒸されるような暑苦しい谷間の坂道の空気の中へ、ちょうど味噌汁の中に入れた蓴菜のように、寒天の中に入れた小豆粒のように、冷たい空気の大小の粒が交じって、それが適当な速度でわれわれの皮膚を撫でて通るときにわれわれは正真正銘の涼しさを感じるらしい。

暑中に冷蔵庫へ這入った時の感じは、あれは正当なる涼しさとは少しちがう。あれは無意味なる沈鬱である。涼しさの生じるためには、どうも時間的にまた空間的に温度の短週期的変化のあることが必要条件であるらしい。