후리가나로 읽는 일본 고전
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
永井 荷風의 すみだ川・新橋夜話 他一篇(すみだがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,378자 · 88화면
薬指にはもう指環さえ穿めていた。用もないのに幾度となく帯の間から鏡入れや紙入を抜き出して、白粉をつけ直したり鬢のほつれを撫で上げたりする。戸外には車を待たして置いていかにも急しい大切な用件を身に帯びているといった風で一時間もたつかたたない中に帰ってしまった。その帰りがけ長吉に残した最後の言葉はその母親の「御師匠さんのおばさん」にもよろしくいってくれという事であった。まだ何時出るのか分らないからまた近い中に遊びに来るわという懐しい声も聞れないのではなかったが、それはもう今までのあどけない約束ではなくて、世馴れた人の如才ない挨拶としか長吉には聞取れなかった。娘であったお糸、幼馴染の恋人のお糸はこの世にはもう生きていないのだ。路傍に寝ている犬を驚して勢よく駈け去った車の後に、えもいわれず立迷った化粧の匂いが、いかに苦しく、いかに切なく身中にしみ渡ったであろう……。
本堂の中にと消えた若い芸者の姿は再び階段の下に現れて仁王門の方へと、素足の指先に突掛けた吾妻下駄を内輪に軽く踏みながら歩いて行く。長吉はその後姿を見送るとまた更に恨めしいあの車を見送った時の一刹那を思起すので、もう何としても我慢が出来ぬというようにベンチから立上った。