후리가나로 읽는 일본 고전
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
永井 荷風의 すみだ川・新橋夜話 他一篇(すみだがわ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,378자 · 88화면
七
七
翌日の午後にまたもや宮戸座の立見に出掛けた。長吉は恋の二人が手を取って嘆く美しい舞台から、昨日始めて経験したいうべからざる悲哀の美感に酔いたいと思ったのである。そればかりでなく黒ずんだ天井と壁襖に囲まれた二階の室がいやに陰気臭くて、燈火の多い、人の大勢集っている芝居の賑いが、我慢の出来ぬほど恋しく思われてならなかったのである。長吉は失ったお糸の事以外に折々は唯だ何という訳もなく淋しい悲しい気がする。自分にもどういう訳だか少しも分らない。唯だ淋しい、唯だ悲しいのである。この寂寞この悲哀を慰めるために、長吉は定めがたい何物かを一刻一刻に激しく要求して止まない。胸の底に潜んだ漠然たる苦痛を、誰と限らず優しい声で答えてくれる美しい女に訴えて見たくてならない。単にお糸一人の姿のみならず、往来で摺れちがった見知らぬ女の姿が、島田の娘になったり、銀杏返の芸者になったり、または丸髷の女房姿になったりして夢の中に浮ぶ事さえあった。
長吉は二度見る同じ芝居の舞台をば初めてのように興味深く眺めた。それと同時に、今度は賑かな左右の桟敷に対する観察をも決して閑却しなかった。